オフィスでの使い捨て品削減:職場で実践した代替品導入とミニマム化の記録
導入:日常の延長としてのオフィスゼロウェイスト
ゼロウェイストへの関心が高まり、自宅での実践がある程度の形になった頃、私は日々の大半を過ごすオフィス環境における使い捨て品の多さに改めて気づかされました。コーヒーカップ、ペットボトル飲料、プラスチック製の文具、使い捨てのウェットティッシュなど、意識せずとも多くの廃棄物を生み出している状況でした。家庭での実践を通じて得た知識や経験を活かし、オフィスという限られた、しかし多くの時間を過ごす場所でのゼロウェイスト挑戦を始めることにいたしました。
この挑戦は、個人的な意識変革だけでなく、職場の環境全体に小さな変化をもたらす可能性を秘めていると感じていました。自身のゼロウェイスト実践における次のステップとして、より広範な生活領域での持続可能性を追求する試みとして、この記録を共有いたします。
本論1:使い捨てを特定し、代替品を導入する具体的な挑戦
オフィスでの使い捨て品削減に向けた私の挑戦は、まず日々の業務で何が使い捨てられているのかを特定することから始まりました。最も頻繁に利用されていたのは、主に以下の項目でした。
- 飲料関連: オフィスコーヒーサービスで提供される使い捨てカップ、コンビニエンスストアで購入するペットボトル飲料。
- 文具・消耗品: 使い捨てのボールペン、クリアファイル、付箋、会議資料の印刷用紙、そしてデスク周りの清掃に使う使い捨てウェットティッシュ。
これらに対し、私は段階的に代替品の導入と使用方法の見直しを進めました。
飲料関連の代替品導入
- マイカップ・マイタンブラーの徹底:
- オフィスでのコーヒーや紅茶は、自宅から持参した陶器製のマグカップまたは保温機能のあるタンブラーを使用するように徹底しました。
- これにより、週に平均して5~7個の使い捨てカップの削減に繋がりました。
- マイボトルによる水分補給:
- ペットボトル飲料の購入を完全に止め、自宅で煮出したお茶や水筒を持参するようにしました。
- オフィス内の給水器やウォーターサーバーを利用することで、経済的なメリットも享受できました。月あたり約2,000円程度の出費削減に成功しました。
文具・消耗品の見直し
- リフィル式文具への移行:
- ボールペンはインクがなくなれば本体ごと捨てるのではなく、リフィルを交換できるタイプに切り替えました。これにより、プラスチックごみの削減だけでなく、お気に入りの筆記具を長く使うことができるようになりました。
- 修正テープやのりも、詰め替え可能な製品を選択しました。
- クリアファイルの削減とデジタル化:
- 可能な限り資料のデジタル保存を心がけ、紙媒体での保管が必要な場合でも、繰り返し使える丈夫なファイルやバインダーを積極的に利用しました。
- また、不必要な印刷を控え、必要な場合は裏紙を再利用するなどの工夫も取り入れました。
- 使い捨てウェットティッシュの廃止:
- デスク周りの清掃には、小さな布巾とアルコールスプレー、または重曹水スプレーを自作して使用するようにしました。
- これは、使い捨ての廃棄物削減だけでなく、プラスチック製のパッケージに入った製品の購入を避けることにも繋がりました。
本論2:挑戦における困難とそこからの学び
この挑戦は、常に順調だったわけではありません。いくつかの困難に直面し、そこから多くの学びを得ることができました。
周囲の理解と共感
- 共有スペースでの実践の難しさ: オフィス内の共有キッチンで食器を洗う際、自分だけが固形石鹸を使用することに最初は戸惑いがありました。また、同僚が使い捨て品を使う中で、自分の行動が過度に目立ち、疎ましく思われるのではないかという懸念を抱いたこともあります。
- 失敗談:完璧主義による疲弊: ゼロウェイストを始めた当初は、完璧を目指しすぎて、全ての使い捨てを排除しようと躍起になり、結果的に疲れてしまうことがありました。例えば、急な来客時に使い捨てカップを使わざるを得ない状況で、内心不満を感じてしまうようなこともありました。
- 学び:コミュニケーションの重要性: 自身の行動の意図を穏やかに伝え、決して他者に強制しない姿勢が重要であると学びました。共有スペースでは、環境に配慮した代替品(例:詰め替え可能な洗剤)を提案するなど、共感を得られる範囲での働きかけを心がけるようになりました。完璧よりも継続が大切であり、無理のない範囲で一歩ずつ進めることの重要性を再認識しました。
代替品探しの課題
- オフィス環境に適した製品選び: 自宅では見つけやすい代替品も、オフィスでの使用に適しているか、機能性と持続可能性を両立しているかを見極めるのは困難な場合がありました。例えば、リフィル式の文具でも、職場で求める書き心地やデザインが限られることもあります。
- 学び:情報収集と試行錯誤: インターネットや専門店での情報収集を重ね、いくつかの製品を試す中で、自分のワークスタイルに合った代替品を見つけることができました。時には、既存のものを工夫して使うことで新たな価値を生み出すことも発見しました。
本論3:挑戦から得られた示唆と効果
オフィスでのゼロウェイスト挑戦は、単なる廃棄物削減にとどまらない多角的な効果をもたらしました。
- 環境負荷の具体的な削減: 私個人の行動だけでも、毎日のコーヒーカップやペットボトル、文具のプラスチック廃棄物が目に見えて減少しました。これを社内全体に広げれば、さらに大きな環境負荷削減に繋がる可能性を実感いたしました。
- 経済的なメリット: マイボトルやリフィル式文具への切り替えは、長期的に見れば消耗品購入費の削減に繋がり、年間で数万円規模の節約効果がありました。
- 仕事の効率化とデスク環境の改善: デスク周りから不要な使い捨て品や過剰なストックが減ったことで、デスク上がすっきりし、集中力を高める効果も感じられました。デジタル化の推進は、資料探しにかかる時間の短縮にも寄与しました。
- 職場の意識変化への貢献: 私の行動に興味を持つ同僚も現れ、中にはマイカップやマイボトルを持参し始める方もいました。ささやかながらも、職場の環境意識向上に貢献できたことは大きな喜びでした。小さな行動が、周囲に良い影響を与える可能性を示唆しています。
まとめ:オフィスゼロウェイストの継続的な実践に向けて
オフィスでの使い捨て品削減の挑戦は、私自身のゼロウェイスト実践における重要な一歩となりました。多くの使い捨て品に囲まれるオフィス環境において、意識的な選択と代替品の導入は、想像以上に大きな変化をもたらすことを実感しています。
この挑戦を通じて得られた最も重要なメッセージは、「完璧を目指すよりも、できることから一歩ずつ、そして継続すること」の価値です。また、自身の行動を通じて周囲に良い影響を与え、小さなコミュニティである職場全体で持続可能性を考えるきっかけを作ることもできました。
今後も、オフィスでのゼロウェイスト実践を継続し、さらに改善できる点がないかを探求してまいります。例えば、デジタルツールをより活用したペーパーレス化の推進や、職場の備品選びにおけるサステナビリティ基準の導入提案など、個人だけでなく組織全体での取り組みへと発展させたいと考えております。
読者の皆様にとっても、オフィスでのゼロウェイストが、日々の業務における新たな視点や喜びをもたらすきっかけとなれば幸いです。