バスルームの使い捨てプラスチック削減:固形製品への移行で直面した現実と考察
ゼロウェイストへの新たな一歩:バスルームのプラスチック削減に着手
私のゼロウェイストへの挑戦は、まずキッチン周りの食品廃棄削減や衣類の見直しから始まりました。ある程度の成果が見えてきた頃、次に目を向けたのがバスルームでした。シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、洗顔料など、日常的に使用するパーソナルケア製品のほとんどがプラスチック容器に入っており、それらが繰り返しゴミとして排出される状況に、かねてから問題意識を抱いていました。
この挑戦の目的は、バスルームから使い捨てプラスチックを可能な限り排除することです。特に、液体製品のプラスチックボトルを固形製品に置き換えることに注力しました。これは単なる容器の削減に留まらず、製品そのものの成分や製造プロセスについても深く考えるきっかけとなりました。環境負荷の低い選択肢を模索し、持続可能なバスルーム環境を構築することが、この挑戦の核となる部分です。
固形製品への具体的な挑戦と実践
バスルームのゼロウェイスト化に向けて、私は以下の製品について固形化を試みました。
- シャンプー・コンディショナーバー: まず手始めに、液体のシャンプーとコンディショナーを固形バータイプに切り替えました。複数のブランドを試用し、香り、泡立ち、洗い上がりの質感などを比較検討しました。保管には、水はけの良いソープディッシュを導入し、使用後の乾燥を徹底しました。
- 固形ボディソープ: これまではポンプ式の液体ボディソープを使用していましたが、これも固形石鹸に移行しました。オーガニック素材やフェアトレード製品など、成分にも配慮した選択を心がけました。
- 洗顔料: 洗顔料も固形石鹸タイプのものを選びました。特に、メイクも落とせるタイプや、肌質に合わせた成分のものを探しました。
- 歯ブラシ・歯磨き粉: プラスチック製の歯ブラシを竹製に、チューブ入りの歯磨き粉を固形タブレットタイプや粉末タイプに替えました。
これらの移行において、特に意識したのは、従来の製品と同等か、それ以上の満足度が得られるかどうかという点です。使い心地が悪ければ継続は困難であると考え、妥協せずに自分に合った製品を見つける努力をしました。
成功談:削減効果と心地よい変化
この挑戦を通じて、いくつかの明確な成功体験を得ることができました。
- プラスチック廃棄量の劇的な削減: 最も顕著な変化は、バスルームから排出されるプラスチックゴミの量が大幅に減少したことです。年間で数十本にも及んでいたシャンプーやボディソープのボトルが姿を消し、その環境負荷軽減への貢献を実感できました。具体的な数値として、約1年間でプラスチックボトル約20本分の削減に成功しました。
- バスルームの整理整頓: 固形製品は液体製品に比べて場所を取らず、ボトルがごちゃつくことがなくなりました。見た目にもすっきりとし、バスルーム全体が清潔感のある空間に変わりました。
- 旅行時の利便性向上: 固形製品は液漏れの心配がなく、スーツケースやポーチにそのまま入れて持ち運べるため、出張や旅行の際に非常に便利であると気づきました。
- 製品への意識の変化: 成分やパッケージ、製造背景などを考慮して製品を選ぶようになり、単なる消費ではなく、より意識的な購買行動が身につきました。
これらの成功は、ゼロウェイストへのモチベーションを維持する上で大きな支えとなりました。
失敗談:予期せぬ困難と課題
しかし、この挑戦は順風満帆ではありませんでした。いくつかの失敗や予期せぬ課題にも直面しました。
- 髪質の変化と製品との相性: 固形シャンプーバーの中には、髪がパサついたり、洗い上がりに軋みを感じるものがありました。特に、私の髪質に合わない製品では、頭皮の乾燥やフケといった問題が発生し、約3ヶ月間、複数の製品を試しては断念することを繰り返しました。期待した効果が得られず、一時的に液体シャンプーに戻さざるを得なかった時期もありました。
- 家族の理解と習慣化の壁: 固形製品への切り替えは、私だけでなく同居する家族の協力も不可欠でした。特に、固形ボディソープについては、泡立てる手間や使用後のぬめりといった理由から、家族が使用に抵抗を示すケースがありました。結果として、全員が固形製品に完全に移行するまでには時間がかかり、一部の製品では液体のものを併用することになりました。
- 保管方法の課題: 固形製品は湿気に弱く、水はけの悪い場所に置くと溶け崩れてしまうことがあります。適切なソープディッシュを見つけるまで、いくつかの製品が無駄になってしまいました。特に、浴室乾燥機を使用しない季節は、製品が乾ききらずに劣化する問題に悩まされました。
- 初期投資と製品探しのコスト: 自分に合った製品を見つけるまでに、複数の固形製品を購入し試す必要がありました。結果的に、合わなかった製品は使い切らずに別の製品に切り替えたため、初期費用が想定以上にかさんでしまったことがあります。
これらの失敗は、ゼロウェイストの実践が単なる「代替品の利用」にとどまらず、個人のライフスタイルや習慣、さらには家族との協調性にも関わる複雑な挑戦であることを教えてくれました。
失敗から学んだことと今後の展望
これらの成功と失敗の経験から、いくつかの重要な学びと知見を得ることができました。
- 段階的なアプローチの重要性: 全ての製品を一気に切り替えるのではなく、一つずつ、または家族との合意を得ながら段階的に移行することの重要性を痛感しました。無理な目標設定は挫折につながりやすいと認識しました。
- 「完璧」よりも「継続可能」を重視: ゼロウェイストの追求において、「完璧」を目指しすぎるとかえってストレスになり、継続が困難になることがあります。完全にプラスチックを排除できなくても、削減への努力を続けること自体に価値があるという考え方を受け入れるようになりました。家族全員が固形ボディソープに移行できなかった際も、一部で液体製品を使い続けることを許容し、その分別の徹底やリフィル製品の活用に意識を向けることで、ストレスを軽減しました。
- 情報収集と試用期間の確保: 製品選びにおいては、成分、他者のレビュー、そして可能であればサンプル試用などを活用し、自身の肌質や髪質に合ったものを見極めるための情報収集と期間を十分に設けることが重要であると学びました。特に、成分表示の確認は、肌への優しさだけでなく、環境への配慮という点でも不可欠です。
- 保管環境の工夫: 固形製品の寿命を延ばすためには、使用後の乾燥を徹底し、水はけの良い環境を確保することが不可欠です。通気性の良いソープディッシュや、複数の製品をローテーションで使うなどの工夫が有効であると分かりました。
- コミュニケーションの価値: 家族とのオープンなコミュニケーションを通じて、それぞれのニーズや懸念を理解し、共に解決策を探ることが、ゼロウェイストの実践を成功させる上で非常に重要であると認識しました。
このバスルームのゼロウェイスト挑戦は、私のゼロウェイストへの取り組みをより現実的で持続可能なものに変える貴重な経験となりました。今後も、完全にゼロウェイストを達成することよりも、無理なく、楽しく、そして着実にプラスチック削減と環境負荷低減に貢献できる方法を探求し続けていきたいと考えています。例えば、将来的には、固形洗剤の手作りに挑戦するなど、より深いレベルでの実践を視野に入れています。
まとめ
バスルームにおける使い捨てプラスチック削減への挑戦は、私にとって多くの発見と学びをもたらしました。固形製品への移行は、プラスチックゴミの削減という明確な成果をもたらした一方で、製品の選択、家族との協調、習慣の変化といった点で様々な課題にも直面しました。
この経験から得られた最も重要なメッセージは、「ゼロウェイストは試行錯誤のプロセスであり、完璧でなくとも継続することが価値を持つ」ということです。読者の皆様が同様の挑戦をする際には、ご自身のライフスタイルや家族構成、そして体質に合わせた段階的なアプローチを検討されることをお勧めいたします。無理なく楽しみながら、一歩ずつ持続可能な生活へと進むことが、この挑戦の真髄であると私は考えております。